権利関係は学習範囲を絞ろう

 

【1】権利関係は,狙いを絞ろう。

 

 権利関係は,本試験では問1~問14まで,14問出題されます。この科目については,「難しい!」という受験生の方が大半です。題材が民法,借地借家法,区分所有法,不動産登記法ということで,本格的に難しく,細かい知識も問われるためです。 

 

 とはいえ,7点取れれば十分合格ラインに乗ります。そう考えると,ほとんど全問正解しないと合格が難しくなる「宅建業法」や「法令上の制限」にくらべれば,権利関係は気楽に勉強できるところですね。

 

 

 

 権利関係の学習で大切なのは,徹底的に学習範囲を絞ることです。『がんばった分だけ報われるところであって,かつ過去によく出ているところ』に絞り込んで学習し,余った時間は宅建業法と法令上の制限に回しましょう。

 

 

 

 おすすめは,①能力②意思表示③代理④売買⑤不法行為⑥相続⑦借地借家法の7項目です。いずれも何度も出題されており,比較的学習しやすい項目です。

 

 紙面の都合上,残念ながらすべて解説することはできませんので,以下では,特に⑤の売買についてみてみましょう。現時点で学習を本格的に始めていない方も,ご参考いただければ幸いです。

 

 

 

【2】「売買」について。

 

この項目の出題実績は,以下のとおりです。

 

出題事項

H21

H22

H23

H24

H25

H26

H27

売買

(○)

(○)

 

 

 

 出題回数は7年間で3回ですから,「超頻出」とまではいえません。しかし,この項目は,合否を決める重要科目「宅建業法」の理解にも影響するため,とても重要です。主な内容は「手付」と「売主の担保責任」の2つですが,覚えるべきポイントは限られており,効率よく得点が期待できるところです。

 

 

 

【3】「手付」と「売主の担保責任」プチ講義。

 

1.手付について

 

 まず,『手付解除の方法』が超重要です。「買主は手付を放棄,売主は手付の倍額を償還して」というルールがあります。また,『手付解除ができなくなる時期』もポイントです。ここでは,相手方が履行に着手するまでは手付解除ができますが,相手方が履行に着手した後は,もはや手付解除はできなくなるというルールがあります。いずれも確実に覚えておきましょう。なお,ここで問題となるのは「相手方」が着手しているか否かです。自分が着手していることは関係ありません。

 

 

 

2.売主の担保責任について

 

「売主の担保責任」では,いろいろな種類の担保責任がありますが,特に「瑕疵担保責任」が重要です。学習はシンプルに,『買主は何ができるの?そのための要件は何なの?』という2点を中心に覚えればよいのです。

 

  瑕疵担保責任では,買主は売主に対して(1)契約の解除(2)損害賠償請求の2つができ,その要件は「買主は善意かつ無過失でなければならない」ということです。悪意の買主は何もできません。また,責任追及期間が「(瑕疵の存在を)知ってから1年」に限定されることもポイントです。

 

 

 

 以上のポイントを押さえておくと,やがて宅建業法の「8種制限」を学習するときに役立ちます。8種制限の中に「手付の額の制限等」「瑕疵担保責任の特約の制限」という項目があり,この2項目で失点すると合否に大きく影響するのですが,この2項目を苦手とする受験生の方は,そもそも権利関係(民法)の「売買」の学習がおろそかになっていることが多いです。やがて「8種制限」を学習する日が来たら,権利関係のテキストに戻って「売買」を念入りに復習してから宅建業法の8種制限を学習すると,スムーズに理解できると思います。

 

 

 

【おまけ】過去問を解いてみよう!

 

 今回のお話に関連して,今後の学習に役立つ1問をご紹介します。「瑕疵担保責任」の基本問題です。

 

 

 

〔問〕宅地建物取引業者でも事業者でもないAB間の不動産売買契約における売主Aの責任に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

 

 

 

1.売買契約に,隠れた瑕疵についてのAの瑕疵担保責任を全部免責する旨の特約が規定されていても,Aが知りながらBに告げなかった瑕疵については,Aは瑕疵担保責任を負わなければならない。

 

 

 

2.Bが不動産に隠れた瑕疵があることを発見しても,当該瑕疵が売買契約をした目的を達成することができないとまではいえないような瑕疵である場合には,Aは瑕疵担保責任を負わない。

 

 

 

3.Bが不動産に瑕疵があることを契約時に知っていた場合や,Bの過失により不動産に瑕疵があることに気付かず引渡しを受けてから瑕疵があることを知った場合には,Aは瑕疵担保責任を負わない。

 

 

 

4.売買契約に,瑕疵担保責任を追及できる期間について特約を設けていない場合,Bが瑕疵担保責任を追及するときは,隠れた瑕疵があることを知ってから1年以内に行わなければならない。

 

(出典:平成19年本試験 問11